未来人でごった返しになりそう!!

 

ねじの回転―FEBRUARY MOMENT

ねじの回転―FEBRUARY MOMENT

 

 恩田陸の『ねじの回転』は、二二六事件を題材にしたタイムスリップもの。よく練られていて、新しいタイムスリップのアイデアはないが、タイムスリップの問題点の解決案を全体に散りばめている作品だった。

ここで考えたいことがある。未来人がある特定の日にタイプスリップして、歴史を目撃する。しかし待てよ。例えば、1862年9月にあったリンカーンによる奴隷解放宣言。これを生で見たい人間は山ほどいるだろう。タイムスリップが完成した10年後の未来人がこの歴史的日に訪れる。そのさらに10年後の未来人が訪れる。また、さらに10年後の未来人が……。このようなことになったら、リンカーン奴隷解放宣言の日は、未来人でごった返すことになりそうだ。まさか!!あの日の人は、未来人だけだったとか!!タイムスリップって、ないような気がする。

まぁ、関係ないことに関心をむけつつも、この本は少し混乱する場面があるかもしれない。辻褄を合わせようとして、相当無理しているような気がする。万人向けの本ではないだろう。歴史と科学が好きだったら、おすすめできる。

恩田陸の本は、直木賞本屋大賞をダブル受賞した『蜜蜂と遠雷』を読んでみて、過去の作品をと思い読んでいる。表現力が抜群なのか、どれも心に残る作品ばかりだ。次の機会があったら、また手に取ってみるつもり。いい作品に出合えた。